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朝目覚めたときに、不思議なことがおこった。
金魚が四ひきに増えていたのだ。
両方の目に二ひきずつ泳いでいる。
びっくりしたけれど、わたしは嬉しくなった。
四ひきもいるんだったら、もうまあちゃんの家にも神社にだって行く必要もない。
ずっと金魚たちを眺めていられる。
わたしはまばたきをした。
え?またさらに金魚が増えている。
視界がぼんやりと白い金魚の体で見えづらくなる。
また、まばたきをする。増える。
まばたきをすると増える金魚。
おかしい。さすがにこれは喜べない。
どっどっどっ、と心臓がなる。
神社に最初にはいったときに感じた怖さがよみがえる。
もしかしたら、バチが当たったの?
神さまになにも言わずに金魚をとったから?
わたしの疑問に答えるように、ゆらり、と金魚たちが泳ぐ。
思わず、まばたきをしそうになるのをなんとか我慢する。
とにかく、このままじゃいけない。
わたしは適当に服に着替えると、神社へと急いだ。
池につくと、身を乗りだして金魚たちを戻そうとした。
それなのに……。なんで?
あんなに簡単に目にはいったのに、どんなに目を大きく見ひらいても池に戻ってくれない。
金魚に直接触れようと、指をつっこむ。
痛いだけで、金魚に触ることができない。
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