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宇宙空間に広がる無数の星々の光は、神秘的かつ魅惑的だが、故郷の灯火にも思えて、温もりさえ感じる。
その輝きに誘われて星に近づいてみれば、球体に見えていた物が、実は全く想像が付かない光源の集まりである事に気付く。
星の中に星があるかのような世界。
さらに突き進むと、星の中の星は、細かい粒子の如く分離し、無数の恒星が見えてくる。
これが光源を形作っていた正体の一つ。漆黒の闇に浮かび、生命体を跡形もなく焼失させる劫火の塊。紛れもない、死の世界。
だが、光の正体を知って、悲嘆に暮れなくていい。恒星の近くに、自ら光ることはないが、生命が誕生し、持続的に生活できる環境に適した惑星があるかも知れないのだ。
そんな惑星を探索するため、広大無辺な宇宙空間を光速の10%の最大速度で飛行する船の中に私はいた。
船名は、クレアトゥール号。長さ200メートルの葉巻型で銀色の宇宙船。少し前に、船内の惑星シミュレーターが「適合」との結果を出した惑星の一つに向かって進路を変更し、邁進中である。
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