1人が本棚に入れています
本棚に追加
最終的な調整が終了すると、箱は小型ロケットに搭載し、惑星に投下する。予定では、1つの惑星にあらゆる方角から10機のロケットを発射する。つまり、箱を10個送り込むのだ。
箱は、途中でロケットから離脱し、自律的に飛行して地表に軟着陸後、有機物を排出する。
振動に弱いデリケートな物を、そんな乱暴なやり方で目的の惑星表面に投下するという計画は、無謀であると一笑に付されるだろう。
しかし、地表に到達する有機物質の大部分が駄目になっても、微量な物質が残ってさえいれば、増殖して、生命体が誕生する。惑星シミュレーターでは、そこまで計算に入れている。
実際に地表に投下されてから先は、私の手を離れるので、シミュレーターの結果を信じるしかない。不測の事態――例えば、想定外の巨大隕石の落下など――がなければ、予想通りの結果になる。しかし、不測の事態が起こるならば、彼らが自力で運命を切り開くのを期待するしかないが。
最初のコメントを投稿しよう!