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私は、惑星シミュレーターのコンソールに背を向け、部屋の丸扉を開けて廊下へ出る。
背後で照明が消灯すると同時に、廊下の照明が点灯する。配管も繋ぎ目もない一枚板のような壁が出迎えるが、部屋の昼白色と違った電球色の光を浴びているので、こちらの方が落ち着く。
充電の休憩には、廊下の光が好きだ。
私は、出てすぐ右の壁に背中を預ける。すると、首の後ろからコードが独りでに伸び、それを待っていたかのように壁に差し込み口が開く。と言っても、後ろに目がないので、そうなっているのだろうと想像しているだけだが。
プラグがジャックに刺さって、カチッと音がした。
こうして充電が始まるのだが、手鏡で自分の充電の仕組みを確認しようとは思わない。この老化しない特殊な身体を手に入れる前の自分だったら、興味津々と覗き見したかも知れないが、今は食事代わりの充電に関心すらなくなった。
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