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瑞稀と話している海斗
「美衣子さんとのペア楽しい?」
「うん、すごく勉強になるし楽しいよ。」
「ふ〜ん、なんだか怖そうだけど…」
「全然怖くないよ!優しいよ。」
「ふ〜ん、私も30になったら、おばさんになるのかなぁ?」
「30は、おばさんなんかじゃないよ!」
「そうかなぁ?もう結婚しないんじゃないの?美衣子さん。」
「どうだろう?」と、言いながら、笑いが止まらない海斗
それを見逃さなかったのは、柳田だった。
ーやっぱり美衣子は、この男と結婚するつもりなのか?この前のアレ、悪阻だよな。コイツの子を妊娠したのか?
そういう目で柳田は、海斗を横目で見つめていた。
もう、とっくに終わったこと。決断出来なかった俺が悪かったんだ。すまなかった美衣子。幸せになれ!ー
やはり、まだ美衣子のことが忘れられなくて、気になっていた柳田。
しかし、離婚など出来るはずもなかった。
美衣子のことは、本当に愛していた。妻が病気じゃなかったら、きっと離婚して美衣子と一緒になっていただろう。出会うタイミングが悪かっただけだ。
俺は、妻を見捨てるわけには、いかなかったんだ。
朝からどんよりする柳田に対して、海斗は、まるで
お花畑にいるような感じで、明るく太陽が燦々と降り注いでいる向日葵のように、元気な笑顔だ。
「おはようございます!」
「お、おはよう!今日も海斗は元気だなぁ〜やっぱり大賞を取ると違うなぁ〜」と、揶揄うのは、新崎課長だ。
「やめてくださいよ、新崎課長!」
おかげで一気に部内の人との距離が縮まった海斗。
『コミュニケーション能力に長けている。
出世するには、とても大切なことだ。』と思う新崎。
しかし、実は海斗の頭の中が入籍のことでいっぱいだと言うことは、新崎課長は、知る由もない。
素直に嬉しくて、満面の笑みで対応していただけなのだ。
「良い笑顔だ!」
「ふふふ」
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