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行くなら行くで、急がなきゃ。同じダイヤの、同じ車両に乗らなくちゃ。
スーツの男に、狙われなくちゃ。
「限度ってものを知らないのかな」
今日はいちだんと激しいな。男とドアに身体を挟まれ、太ももを手が揉みしだく。スカート越しに、棒が尻へと押しつけられる。
いいよ今日は、とことんやって。母をわからせて。
「学校まであと2駅」
もうひと越え、動かぬ証拠が欲しいかな。あ、男の手が胸のほうにも伸びてきた。
そうだそうだ、そうしよう。
「ねぇオジさん、次の駅で降りようか。降りたらわたしの言うとおりにね」
その手をつかんで振り向いた。青ざめた顔が、汗だくになって必死で頷く。
「これで許してもらえませんか」
スーツの男は跪くと、財布を丸ごと差し出した。なかには万札5枚と千円札数枚、それと免許証とカード類。
「そうだね、オジさん勤め人でしょ? 会社にバレたらイヤじゃない?」
「なんでもしますから!!!!」
スーツの男は土下座した。公衆トイレの不潔な床に、額を擦りつけながら謝る。
「じゃ、まずさ、オジさんちょっと声を小さく。せっかく場所を移してあげたのに、声が響いちゃ意味ないよ」
「はい、すみません」
「次に、わたしちょっと電話ボックス行ってくるからオジさんも欠勤の連絡しといて」
「はい?」
「学校に欠席の連絡入れないと。その間に逃げられないように、財布はこっちで持っとくね」
男はぽかんとしていた。
「あ、一応。まだ訴えるつもりじゃないから、そこは安心してていいよ」
男の顔はますます不思議そうになっていった。
「ともかく、会社は適当な理由で休みとって。その汚れた顔も洗っといて。じゃないと本当に通報するよ」
まったく。今の時代、携帯くらい持たせてくれてもいいだろうにね。
なにが、「勉強に携帯は要らない」だよ。残念だったね、お母さん。愛娘は、携帯無しで悪いことします。
学校には、「生理痛」と言っといた。「無理やり行かさせられたがどうしてもつらい」とも。
まえに高熱出しながら学校行って倒れたことがあったから、そのとき母は担任の話にまともに聞く耳持たずだったから交渉はすんなりだった。
「オジさん、ちゃんと休みとった?」
汗は止まってなかったが、律儀に顔も洗ったんだろう、袖口が水で濡れていた。
「取りました」
「そんな畏まらなくていいよ。じゃ、行こっか」
「どこへ?」
「『ちょっと疲れちゃった。どこかでひと休みしたいな』」
「なにを言って……?」
ドラマのマネしたつもりだったけど、この人童貞くさいもんな。
「あれ? OKのときってこれじゃなかったっけ?」
「え……? って、え……?」
ノリが悪いよ、バレバレの痴漢はしたくせに。
「だぁ〜かぁ〜らぁ〜、ホテル行こって言ってんの! ウジウジしてると交番行くよ?」
男の顔にハテナマークが浮かび上がる。据え膳食わぬは男の恥だよ。
「オジさんどっち? 捕まるの? それとも制服姿の現役名門私立jcとセックスするの?」
「わかった……、とりあえず静かにしてくれ……、通報されたくない……」
「じゃ、決まり! もうすぐ行こ!」
オジさんの携帯で場所を調べ、ふたりでそこまで歩いていった。通報されたらどうしよう、お母さんが狂ってくれちゃう。
(ふぅん、ラブホテルってこうやって入るんだ)
オジさんがお金を入れると、お釣りが返って鍵が開いた。
なかに入ると、テレビがAVを流してた。パッケージ以外ははじめて観るな。
「オジさん、シャワー浴びてきてよ」
なかが丸見えのシャワールーム、オジさんは無言で入っていった。顔はもう、観念してた。
せっかくだからAV鑑賞。男のそれに、女優が裸でしゃぶりつく。舐めて吸いつき口を離すと、モザイクが大きくなっていた。
オジさんを見ると、全身くまなく洗っていた。男優よりも情けない、お父さんの裸みたい。
「あ! オジさんシャワー終わった? じゃ、しよっか」
わたしは身体をタオルで拭くオジさんに声をかけた。オジさんが、腰にタオルを巻き付けておずおずしながら歩いてきた。
「今から、その……、本当に、するのかい?」
「まだ言うの?」
「わかった。ひとつお願いだけど、きみも裸になってくれないか」
制服脱ぐの? 裸になったらただのブスだよ?
「オジさんだけ裸なのは恥ずかしいよ」
オジさんのカラダ、カッコいいとは言えないもんね。太ってないのにお腹出てるよ。
「オジさんが脱がしてよ。ホラ、来て」
わたしはベッドに寝そべった。グラビアでみたよ、男ってこういうの好きなんでしょ?
「わかった」
オジさんが、身体を震わせながら覆いかぶさり震える指をネクタイにかける。
目が明らかにビビってる。
「オジさん、もしかしてドーテー?」
オジさんが顔を真っ赤にして一瞬目を見開いた。
「そうだよ」
「溜まってたからチカンしたんだよね? 夜はそれをオカズにしてたの?」
「そう、だよ」
顔を真っ赤にしたまま表情が戻った。正直だよね、ヘタレなのに。
「ならわたしをめちゃくちゃにしてよ、この機会にオトコになろうよ」
はやくわたしを汚してよ。お母さんを、裏切らせてよ。
「悪い、脱がせかたがわからない」
スカートに手をかけたオジさんが、未知との遭遇のような顔をしていた。
「ホント童貞。自分で脱ぐから、オジさんもそのタオル取って」
仕方ないから、ブラもショーツも脱いであげた。どうせ脱がせきれないだろうから。
裸になると、しなしなだったオジさんのそれが大きくなった。
男って、相手がブスでもできるってだけでそうなるんだね。
「オジさん、やっとその気になったね」
「どうとでもなれだよ」
わたしがオジさんを引きよせると、オジさんが全身にたどたどしくしゃぶり付きだした。
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