君の目が言っている。

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 やあ、どうも。  ああ、ごめんなさい。驚かせてしまって。そんなつもりはなかったんです。  いきなり声をかけてしまったから、怪訝な顔をするのも分かりますが、私にとっては、いきなりでもなかったんです。  だって、もう30分もここから見ていたんですから。ずっと様子を伺っていて、それで今、やっと声をかけたんですよ。  いやいや、そんな。勘違いしないでください。  私は君の嫌がることなんて、きっとしません。  去れと言われれば、すぐに去ります。  ただ、その前に少し、話を聞いてほしいのです。  君の不利益になるような話ではないことは約束しますから、騙されたと思って、聞いてほしいのです。  見たところ、お急ぎではないでしょう?  だから、少し、ほんの少しですから。  ーーーありがとう。では、なるべく手短に。  ああ、構いません。どうか、そのまま聞いてください。
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