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心臓、れいぞうこのなか(8)
ワタシ、そんなお姉ちゃんのことを愛しているんだけど。意地になって何度も言う。泣きそうになってしまう。そんなにおかしなことだろうか。
「ああ、もう、そんな顔をしてもダメだよ」
「どうして。どうして。ワタシはあなたが好きよ」
「また今度、私がまともな時に言って欲しいな」
「お姉ちゃんはいつも普通でしょう」
「そうね」
お姉ちゃんは、眼尻に溜まった涙を気にもとめずに、ワタシを改めて抱き寄せてくれる。
冷えたお布団をふたりで温める。
愛してるってこういうことじゃないの。
縋り合っているわけじゃない、どちらかが少し重いかもしれないけれど。
倒れきってしまうか、上手に立つか。うまいタイミングを調べる毎日を失いたくないと思う。
ここでじゃれ合うふたつの白い肉の塊が愛だといいのにと、幼いワタシはひたすら願った。
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