心中ごっこ

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心中ごっこ

もう聞き飽きたっちゃ聞き飽きた「死にたい」に対する「私がいるじゃん」も、「じゃあその前に私と付き合って」もなんの意味もなかったのだろうか、と思うと正直ちょっとうんざりする時もある。 うんざりって言うか、がっかりって言うか。 私の存在っていったいなんなのよ、ってなるんだよね。 ただ、いっこ。 キスしてる最中に「今、死にたい」と言うのは可愛いらしいので、それだけは、私はわりと好きだった。  「別に死にたいわけじゃないんだけど」 「そうなの」 「気づくと、つい言ってる」 やっぱりそうなんだ、なんて思いつつ、親友の頬に手を伸ばしてちゃんとそこにあるぬくもりに安心したりする。 唇を唇に寄せて、ベッドに仰向けにゆっくりとその細い体を倒す。 私が唯一好きな「死にたい」を聞く為に。 そん時だけでいいじゃん、言うのなんか。 他の時には言わない言葉にしよーよ。ね。 そう思ってしまうけど、気づくとつい言ってるレベルで死ぬことばっかり考えてるやつには、私の想いなんか伝えても無駄だろうな、と思うとちょっと物悲しかった。  「私、今…死にたい」 いつもならそれだけでいい。 その言葉をこの瞬間に発してくれるだけでいい。 でも、今日は。
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