心中ごっこ

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心中ごっこ

どういうわけだか私はちょっと楽しい気持ちになっていて、ドキドキと胸が高鳴って、もしかしたら親友も、毎回ただ想像したら愉快な気持ちになるから、だから死にたいなんて言ってたんじゃないのかな、とか。 そんなことを思った。 酒をあらかた飲んで、二人でどうでもいいような話をして、そろそろ薬をまとめて飲んでみようと言う雰囲気になったところで、すぐ隣の引き戸一枚隔てただけの台所から、甲高い警告音が鳴り響き出した。 どうやら、長い間、冷蔵庫を開けっ放しにしていたらしい。 私がつい「電気代もったいないじゃん!」と叫ぶと、一瞬きょとんとした親友が、間をおいて、ぶは、と吹き出したから、私はしまったと思って、ばつが悪いような、居心地が悪いような、微妙な顔で苦笑いを作ることしか出来なかった。 
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