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「……それじゃ笑顔でいたら、もっとアルフレッドくんと仲良くなれたりするのかな?」
何気もなく、そんなことを彼に言ってみた。
彼がどんな表情をするのか、見てみたくなったからだ。
アルフレッドくんを見る。彼は、ぽかんとした顔で僕を見ていた。
その後、右手を顎に当てて、しばらく思いに耽けっていたが、やがて手を下ろして言った。
「……イヴァン。それってつまり、俺と友達になってくれるってこと!?」
彼は頬を紅潮させ、目を輝かせて聞いてきた。
ちょっと、面食らった。
「え、と…。僕は、アルフレッドくんがどういう表情するかなって思って聞いただけだよ」
まさか、そう来たか…。彼と友達になりたいなんて、僕はこれっぽっちも思ってないのに!!
ちらっと、隣を歩くアルフレッドくんを見る。
落ち込んでいるかと思ったけれど、彼は何ともなさそうだった。
どうやら、僕が思ったことと彼が考えていることは逆だったらしい。
彼の目は、丸く弧を描いていた。
「なんか、嬉しそうだね?どうしたの?」
僕は彼に訊ねた。
「俺がどんな表情するか見て見たかったってことは、俺に少なからず興味があるってことだろ?それが嬉しいんだよ!
話しかけてもいい反応返ってこないことが多かったから、イヴァンって、俺に興味ないのかなってちょっとしょげてたんだよね」
彼は、一気にまくしたてた。それくらい、僕の一言に元気が出たのだろう。
彼の無邪気さに、僕はふふっと笑った。
アルフレッドくんは僕と同じ大学生だけど、ちょっと子どもみたいで面白い。いや、違う。………一緒にいて楽しい。
そう思った。……彼と友達になってみたいな。
なってみてもいいかもしれない。
何か、面白いことがたくさんあって楽しめそう。
僕は、彼の名前を呼んだ。
「ねぇ、アルフレッドくん。」
「どうしたんだ?イヴァン?」
彼が僕を見る。
「僕と、友達になってくれる?」
僕はアルフレッドくんに穏やかに微笑んだ。
彼は、暫く目を丸くしていたが、僕が言ったことを理解したのか、さっきと同じく朗らかに笑った。
「もちろん!!!やった〜!!とっても嬉しいよ!」
アルフレッドくんは、ガッツポーズをする。
それを見て、僕も気持ちが上がるのを感じた。
「ふふっ、僕も嬉しいなぁ〜。これからよろしくね、アルフレッドくん。」
「俺からも、よろしくな!イヴァン!」
2人で握手して、彼と友達になったことがしっかりと理解できた。
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