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____「天野、異動が決まった」
直属の上司に改まって話があるなんて言われて覚悟はしていたが。
一瞬だけ天を仰ぎ、すぐに視線を部長へ戻した。
「資材調達、購買部を立て直して欲しいそうだ」
「購買部……」
原料の価格高騰で赤字傾向にあり、また一部の社員による発注ミスで在庫過多も度々みられる問題部署か。
営業部ともうまく連携が取れていないので気になっていたが、まさか自分がそこに異動になるとは。
「ここだけの話、順調にいけばすぐに親会社への出向の話も出てる。少しの間だけ辛抱して欲しい」
信頼している上司からの出世の話。
嬉しくないわけではないが、あまり興味が湧かないのが正直なところだった。
購買部への異動すら、さして気にもならない。
このまま淡々と、与えられた職務に専念できればいい。
今まで過ごした職場や同僚達に対して、自分でも呆れるほど思い入れがないのは、入社八年目であらゆる人間関係に辟易したせいか。
部長に頭を下げると、リセットボタンを押されたように思考が切り替わり、引き継ぎに関してのタスクを整理した。
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