【 光輝さん 】

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【 光輝さん 】

 7階の最上階は、各階の3つの部屋を1つにまとめたような広さがあり、とても豪華で見晴らしもいい。  夜になるとベッドルームにある大きなガラス張りの窓から見える夜景は、とても(きら)びやかで美しい。  休日になると、彼の部屋へ呼ばれ、玄関を入るとすぐに彼が強引にキスをし、そのまま寝室まで激しく抱き合いながら進み、今日もこの大きなベッドの上に押し倒され、彼に抱かれる。  でも、ここまで何も問題がなかった訳ではない。  昨年の10月に、一度、彼が浮気をした。  彼のルックスや経済力、社会的地位から、彼が女性にモテないとは思っていなかったが、さすがに(へこ)んだ。  私は悲しくて、しばらく会社を休み、自分の部屋で塞ぎ込み泣いた。  その時に、寂しい気持ちを紛らわせるために、ペットショットで見つけたかわいい子猫を購入し、その子猫に癒しを求めた。  それが、今飼っているこの子猫のニャーちゃんだ。 「にゃ~」 「かわいいねぇ~、ニャーちゃんは。君だけは私の味方だ」  そして、同じ頃、ホームセンターでスノードロップの球根を10個買って、ベランダのプランターに植えた。  植えたそのスノードロップの球根から芽が出てきたのが、去年の11月頃。  その時に、彼から浮気相手と完全に別れたからと言われ、浮気のことを許して、彼と()りを戻した。  丁度、その頃からだ。  このマンションから飛び降りる人が現れ始めたのは……。
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