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「……新婦、朱莉。あなたは隼人を夫とし、病めるときも健やかなるときも、愛をもって互いに支えあうことを誓いますか?」
「はい、誓います」
これから悲しいことも、大変なこともあるのかもしれない。
でもそれを含めて、隼人と作っていく未来が楽しみで仕方ないのだ。
私は隼人を誰よりも信頼していて、信じている――彼にとって私もそうであってほしい。
「朱莉、愛してる」
「私も」
誰にも聞こえないくらいの声で、互いに愛を囁く。
唇と唇が触れ合った瞬間――魔法が掛かったように、さらさらと雨が降り始めた。
あんなにいい天気だったのに、いつの間にか雨雲が私たちの上にやってきていたらしい。
「もう、こんな時まで雨男発揮しないでよ」
「雨女は朱莉だろ?」
こそこそ言い合いをしていると、それを眺めていた神父さんは肩を揺らして笑う。
「結婚式の雨は天から祝福を受けていると言われていますので、喜んで」
「そうなんですか?」
「ええ、幸せの雨ですよ」
(幸せの、雨……?)
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