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「ねぇねぇ、朱莉ちゃんってどんな子なの? ナース? CA? 今度遊びに連れてきてもいいわよ、母さんおもてなしするから」
「小児科らしいよ、同じ病院の」
(言ってしまった……)
がっくりと肩を落とす俺の背中を、母さんはバシッと叩く。
「いいじゃないの、小児科! 子供を扱うのもうまいじゃない。ちゃんと決める時は決めなさい、隼人」
痛いところを突かれ、頭を抱える。
(確かにその通り。のんびりしてたら、他の男に捕られかねない)
朱莉は無自覚だが、美人だし気も効く。何度も医者に言い寄られていたことも知っている。自分の気持ちを伝えるとしたら、二人で出かける時が絶好のタイミングだろう。
すると母さんは残念そうにため息をついて腕を組んだ。
「そっか~。私立病院の院長さんが娘さんと隼人の縁談を持って来てくれたけど、そういうことなら無理ねぇ」
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