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「青春だねぇ」
英語研究室の窓から水野が笑いながら見ている。
紡木も座りながらその光景を見ていた。
「藤井の彼女の3年2組の森下ですよ。美人で頭も良くて下級生からも慕われてる。申し分ない生徒でね。森下がいるから藤井は学校を辞めずに来るんでしょう」
水野はまるで自分の子供を見るような優しい眼差しで眺めている。
「水野先生は…藤井くんをとても気にかけていらっしゃるんですね……」
水野が振り向き「ははは…」と笑うと
「偶然なんだが…あの子の母親を教えててね。英国人とのハーフでキレイな娘でねぇ。ちょっと…精神的に脆いところがある子だったが……結婚したと聞いて安心していたんですけどね……」
そこで言葉を濁した。
「それで……英語が堪能なんですか…」
「まあ…他にも色々とね……」
水野が苦笑いすると
「さて!紡木先生、次の授業なんだが…」
話を変え次の準備へと移った。
紡木はもう一度直斗に目をやり、次の授業の打ち合わせを始めた。
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