最悪な出会い

4/20
前へ
/231ページ
次へ
「青春だねぇ」 英語研究室の窓から水野が笑いながら見ている。 紡木も座りながらその光景を見ていた。 「藤井の彼女の3年2組の森下ですよ。美人で頭も良くて下級生からも慕われてる。申し分ない生徒でね。森下がいるから藤井は学校を辞めずに来るんでしょう」 水野はまるで自分の子供を見るような優しい眼差しで眺めている。 「水野先生は…藤井くんをとても気にかけていらっしゃるんですね……」 水野が振り向き「ははは…」と笑うと 「偶然なんだが…あの子の母親を教えててね。英国人とのハーフでキレイな娘でねぇ。ちょっと…精神的に脆いところがある子だったが……結婚したと聞いて安心していたんですけどね……」 そこで言葉を濁した。 「それで……英語が堪能なんですか…」 「まあ…他にも色々とね……」 水野が苦笑いすると 「さて!紡木先生、次の授業なんだが…」 話を変え次の準備へと移った。 紡木はもう一度直斗に目をやり、次の授業の打ち合わせを始めた。
/231ページ

最初のコメントを投稿しよう!

165人が本棚に入れています
本棚に追加