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大梧と竜義 ②
「さてと…まあ、取り敢えずはこんなもんか」
ベッドや箪笥、テーブル等の大きな家具をセットし終えると、翔馬が一呼吸吐く様に言って置いたばかりのソファに座った。
「俺、お茶淹れるから兼村たちも適当に座ってくれ」
「あ。渉流さん、俺も手伝うよ」
楽しそうに雨宮の後を追い掛けるリュウを、少し複雑な思いで見る。
「今日は助かったよ。ありがとな、大梧」
「ん?…あぁ、気にするな」
「で?お前等はどうするんだ?」
「は? “どうする” とは?」
「決まってんだろ~、お前と桧山はいつ引っ越すんだ?」
「はぁ?!何言ってんだよ、何で俺たちが引っ越す必要が…」
「え?だって一緒に暮らすんだろ?今だってほぼ半同棲状態なんだし、いいかげ」
「だっ、誰が半同棲状態だ!!お、お前と雨宮だって…殆ど “通い婚” 状態だっただろ!?」
「ああ。だからハッキリさせる為にもこの部屋を契約したんだよ」
「っ!」
「俺は渉流とずっと一緒に居たかったし、渉流に辛い思いをさせたくなかった。嬉しい事も悲しい事も2人で受け止めて行きたいと思ったから、プロポーズしたんだ」
「…プロポーズ…て…」
「形ばかりの結婚なんてできなくても良い。こうして一緒に同じ屋根の下で暮らせるのなら…此処が俺たちの新しいスタートだと思ってる」
今まで俺が見た事の無い様な優しい目をキッチンでお茶を淹れている雨宮に向けている翔馬は、悔しいけど……本当にカッコイイと思った。
「お前もさ……桧山を本当に大切に思うなら……これからの事を真剣に考えた方が良いと思うぞ」
「……ああ、…分かってる」
でも、それは…俺一人が決められる事じゃない…
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