10人が本棚に入れています
本棚に追加
半分骨になっているのに、すごく重くて、すごく冷たいの。
ねえ、パパとママに言って。
追い出してもらわなくちゃ、ねえ早く、早く。
権藤と同様に、霧島もすっかりやつれてしまい、パパ、ママと両親へ呼びかけながらベッド潜り込んで怯えているという。食事もぜんぶ、あいつと赤ん坊が食べてしまうからと、手付かずのプレートを空っぽだと言い張って聞かないらしい。
「そっちに行った、ってことか」
どちらにしろ、私は怪談書きであるけれども祓ったり、楽にしてやれる方法はおろか、そんなチカラは持ち合わせていない。持っているとしても、あいつらには使いたくないし、使う気もない。
スリープモードにしていたパソコンを再起動させ、私は文机の前であぐらをかき、ワード画面が立ち上がるのを待つ。
ピンク色で、太字のゴシック体で打ち込まれたメッセージに私は思わず、ふふっと吹き出した。
「アリガトウ」
どういたしまして、と呟いてキーボードを叩く。
外では蝉が鳴き出し、暑さをいっそう濃いものにさせていた。
最初のコメントを投稿しよう!