【第十話】つながる想い

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「お待たせ、お兄ちゃん」 「おう、それじゃ帰るか。なんか駅で土産でも買ってく?」 「そうだね。お母さん和菓子好きだから、なんか良いのあったら買って行こっか」  久々の兄妹水入らずの会話だった。  駅に着くと、両親へのお土産だけでなく、自分達が食べたい物もつい購入してしまい、荷物が膨れ上がっていく。  大きな土産袋を抱えた二人は予定通りの新幹線に乗り込んだ。  指定席に座り、窓からの景色を眺めながらなにかつまめるお菓子を取り出そうと荷物を漁っていると、健太郎が発した一言に真琴は度肝を抜かれた。 「なあ、お前って奏のこと好きなの?」 「な、何で!?」 「だってお前まだ奏のとこに居座ってんだろ。狙ってるとしか思えねー! でもなぁ、奏はハードル高いぞ。俺は数々の女の子がフラれるのを見てきた。あのクラスの人達で無理なんだから、お前じゃなぁ……。いつまでも迷惑かけてちゃダメだぞ」  色々とツッコミを入れたくなる気持ちを通り越して呆然としてしまう。  以前なら瞬時に訂正を入れていたが、今となっては奏を好きということに関しては事実になってしまった。  一方的に話す健太郎は、あまりにも見当違いの発言が多い。  本当にこの男は今まで何を見てきたんだと呆れながら、そのまま適当にあしらって話題を終わらせた。
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