【第十話】つながる想い

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「この辺の人達みんなで捜索にあたるから手伝ってほしいって」 「私も手伝う」 「俺も」  真琴と健太郎はその要請に応じ、各々捜索に当たるため外へ飛び出した。 「真琴だって夜一人は危険なんだから、お前はあんまり離れたとこ行くなよ」 「わかってるわよ」  健太郎は真琴を気遣う。念の為に非常用の懐中電灯を持ち、真琴は近くの山の方へ向かった。  さすがの真琴もこの時間から山の中に入ることはしない。  その周辺の子供が隠れていそうな場所をくまなく探してみる。  しかし周りは見通しも良く、ここは収穫がなさそうだった。  三十分ほど辺りを見渡すも何も見つからず、真琴はとぼとぼと坂道を降りて、家の方へ戻ろうとしていた。  ふいにそこで、なにかが引っ掛かる感覚を覚えた。何かを見落としている気がする。  足を止めて周囲を見渡すも、特別なものは何もなく、いたって普通の坂道で、右手側には林が広がっている。  坂道の下には大きな田圃が広がり、その先に真琴の実家や小学校が見える。  ……この場所は、確か……。
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