【第十話】つながる想い

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 晴れて正式に交際をスタートさせることになった奏と真琴。  かといって、これまでの生活や関係が大きく変わるということはない。寧ろ今更すぎる関係だった。 「そうだ、これから夜は僕の寝室で寝ない? もう恋人同士なら、良いよね?」 「いや、それはちょっと……。恋人同士でも、一人で心休まる時間っていうのは必要なの。だから生活リズムは今のままで変えない」 「そう……」  奏が少し寂しそうな表情をしたのを見て、真琴はすかさず言葉を返す。 「でも、週に一回くらいは、一緒に寝てあげても……いいかな。気分によるけどね!」  その言葉に奏の表情はまた明るくなった。  自分の真下にある真琴の体をぎゅう、と抱きしめて、そのままゆっくりと起き上がらせた。 「じゃあ早速今日は一緒に寝ようね。ここ数日、真琴に会えないどころか連絡もしてくれなかったし、寂しかったよ」 「う……。わかったわよ……」 「もう一回、キスしても良い?」 「うん……」  先程玄関で交わしたような深いキスを再び味わう。  今度はお互いの気持ちを理解した上で、その舌を絡め合う。  これ程の幸福感は味わったことがないくらい、愛しい気持ちで胸がいっぱいになった。 【第十話 終わり】
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