【番外編】青春に消えた恋

2/5
前へ
/150ページ
次へ
「ふーん。委員長、家どこ? チャリ乗せてってやろーか?」 「だから委員長はやめてって」 「じゃあ、真琴?」 「は!? いきなりそんな……」 「俺のことも恭平で良いよ。つか、みんなそう呼んでるし。柚木くんって良い子みたいな呼び方嫌い」 「わかった。でも、別に一人で帰れるから平気。じゃあね」 「そ。じゃーね。」  せっかく誘ってやったのに可愛くない奴だと心の中で文句を言う。  こう見えて恭平は女子人気が高く、女子にこんな無愛想な態度を取られたのは初めてだった。  真琴の態度に多少イラっとしながら、一人で自転車を飛ばした。  そのイライラを払拭するように、思い切りスピードを出し続けた。 *  *  *  あれから恭平は、クラスにいる時はなんとなく真琴の姿を目で追ってしまうようになった。  今まで視界に入らなかったし、名前さえ覚えていなかったのに。  クラスでも真琴は大人しくて、目立つようなことはしていなかった。  友達がいないわけではなく、孤立しているという感じではなさそうだ。  部活は料理部に所属しているようだったが、料理部ってなんだ? どこでやってるのかさえわからない。  顔をよくよく見るとそんなに悪くない。目がまんまるく、鼻や口は小さくて、肌が白くて可愛らしいと思う。  あと、スタイルが良いというか……なんとなく男好みする色気がある気がする。  これらがここ数日で真琴を観察して得た恭平の感想だった。
/150ページ

最初のコメントを投稿しよう!

328人が本棚に入れています
本棚に追加