愛などなくとも

【第十二話】二人のはじめて

「さっきのは本当？」
「……本当」
「もしかして、今まで我慢させてた？」
「……うん」

　真琴が素直に話しだしたのを見て、奏は笑顔を浮かべる。
　そして布団から出て、ベッドの隅にある小棚の引き出しから何かを取り出してきて、それを枕元に置いた。
　それが何かは見えなかったけど、言われなくても何かわかる。
　すぐに布団の中に戻ってきた奏は真琴の上に覆いかぶさると、何も言わずに唇を重ねた。

「ん……、あ、……んんっ」

　いつも以上に丁寧に、舌を絡め合う。
　空いてる手で耳や首筋を撫でられ、肌が粟立つ。体がどんどんと敏感になってゆくのを感じる。
　真琴の唇から離れた奏の唇は、次にその首筋に触れた。
　そして、パジャマの中に手を潜らせ、柔らかな肉の感触を確かめた。
　優しく胸を揉み込むと、その先端を人差し指で軽くなぞる。
　なぞられているうちに固くピンと立った乳首を指の腹でゆっくり優しく撫でている。

「んぁっ、ぁぁ……っ」
「真琴、気持ちいい？」
「ぅん……、きもち、ぃ」

　再び唇を重ね、可愛く喘ぐその口を塞ぐ。
　先程まで胸の先端をいじっていたその手はするすると下に降りてゆく。
　中指の腹で、ショーツ越しの割れ目を焦らすように上下にゆっくりとなぞられている。

「んっんんっ♡」

　唇は塞がれているので言葉にならない声が漏れ出てしまう。
　優しく焦らすような手つきに合わせて、腰が勝手に動いてしまう。

　もっと早く、直に触って欲しいのに、もどかしくて堪らない。
　その愛撫は数分間に渡り、じっくりと攻めあげられる。
　その間、奏の唇やもう片方の手で様々な性感帯を攻められ、真琴の体は快感の渦に囚われていた。