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「はぁ……はぁ……」
「か……なで……」
「ん……?」
「好き……」
「僕もだよ」
最後にもう一度、優しいキスを交わした。
* * *
気がつくと、奏のセットしている目覚ましアラームの音が聞こえてきた。
微睡みながらゆっくりと目を開く。
「まだ寝てて良いよ。今日は休みだし」
奏も掠れた眠そうな声をしていた。
普段は休日も朝早く起きている奏だが、この日はそのまま布団の中に居座るつもりらしい。
勿論、真琴も布団から出るつもりはない。
しかし、一度目が覚めるとじわじわと頭が冴えてきて、お互いが裸のままであることに気がつく。
そういえば、昨日は奏と初めて体を重ね合わせた。
お互い絶頂を迎えたあと、限界だった二人はピロートークを楽しむこともなく、そのまま眠りについてしまったのだった。
ついに一線を越えてしまったことを実感して、また少し恥ずかしくなる。
さっさと二度寝をしてしまった奏の顔を見ると、とても健やかな寝顔をしており、この、寝顔を独占している幸福感を噛み締めた。
ようやく恋人として一歩進むことが出来たことで、真琴の胸の中にあったモヤモヤは綺麗さっぱりなくなった。
ただ、次にする時は奏の余裕を剥ぎ取ってやろうと画策してみるのであった。
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