328人が本棚に入れています
本棚に追加
翌朝、目が覚めると同時に真琴は違和感を感じた。
唾を飲み込む時、喉に棘が刺さったような鋭い痛みが走る。
重い体を置き上げようと動かした瞬間、揺らした頭がやけにだるい。
なんとなく体の火照りが残っている気もする。
まさかと思って近くに置いてある体温計を使用すると、微熱があった。
まずい、これは今日中にどんどん悪化するパターンのやつだ、と頭によぎる。
横に眠る奏を見て、そっと額に手を添える。
昨日ほど体温は高くない。
恐らく微熱ほどまで下がっていそうだ。
顔に触れられたことで奏は眩しそうに目を覚ました。
「おはよう……。どうしたの?」
「……私も風邪ひいちゃったかも」
「そしたら今日もずっと一緒だね」
奏は元々抱きしめていた真琴の体をより一層強く抱きしめた。
こういうことになることくらい予想できていたのに。
奏のスマホを見てしまい、嫉妬心にスイッチが入ってバカなことをしてしまったと後悔する。
「二人とも治るまで、ずっと一緒寝てようね」
「そんなの困る! 今日からは別々の部屋で寝る!」
「絶対離さない」
既に結局奏の腕に完全にホールドされてしまっている真琴の体はそのベッドから逃げることが出来なかったので、観念してその場に横たわるのであった。
【第十三話 終わり】
最初のコメントを投稿しよう!