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「戻りが遅いから晶も心配してたんだ。戻ったら庭園の紅葉を見に行こう」
「うん」
その後晶と合流し、瀬戸の屋敷内に広がる紅葉を三人で眺めに行った。
美しい紅葉が広がる景色を貸切状態で見ることは滅多にないので、幻想的な空間に心を奪われた。
その他にも晶は敷地内を案内してくれて、手入れが行き届いた見事な庭園を見ることができた。
その後、晶の提案で夕飯までご馳走になっただけでなく、なんとその日はそのまま瀬戸家に宿泊することになってしまった。
旅館のような大きなヒノキ風呂に一人入浴しつつ、真琴は今日一日のことを思い返す。
奏のことを少しでも知りたいと思って訪れたが、想像以上に真琴の知らない世界がそこにあった。
加奈子の表情と声がまだ心のどこかに淀んだ状態で残っている。
奏は彼女の言葉をどう思っているのだろうか。
今までもあのような言葉をかけられてきたのだろうか。
そう思うと、胸が苦しくなった。
お風呂を済ませ、案内されていた客間に戻ると、そこには奏もいた。
また、二人分の敷布団まで用意されていた。
「え? 一緒の部屋なの?」
「うん」
「奏の部屋はあるんじゃないの?」
「この家に僕の部屋はもうないんだ。だから戻った時はいつも客間だよ」
「そうなんだ……」
また胸が苦しくなる。
「それより浴衣が似合ってるね」
その浴衣は瀬戸の家から部屋着用として用意されたものだった。
普段と違う格好を見られるのは少し恥ずかしかった。
「真琴、おいで」
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