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「ほんっと、最低!」
「真琴が可愛かったからつい……。真琴も興奮してたでしょ」
「してない!」
「そんなに怒らないで。後でもう一回しよう。今度はちゃんと顔が見える体位で。もっと優しくするから……」
奏はそのまま真琴の耳を喰みながら、真琴の太ももの内側をさすった。
「ひゃんっ!」
「真琴の気持ち良い場所、だんだんわかってきたんだ」
そう言って微笑む奏の瞳はギラついていて、怖いほど美しかった。
* * *
夜が明けた。
あの後結局もう一度抱かれ、二人は快楽を重ねた。
朝食は晶、奏、真琴の三人で囲んで、晶はとても満足そうだった。
着替え等を済ますと、午前中のうちに瀬戸家を後にすることになり、晶は見送るため玄関先までついてきた。
朝食時にはいなかった棗も顔を出してきた。
前回と同じような仏頂面だったが、久々に帰宅した奏には興味があったらしい。
「真琴さん、奏、またいつでも来てください」
「ありがとう。棗さんもお見送りありがとうございます。お話しあんまりできなかったですけど、また今度はゆっくりお話しさせてください」
「いつでも歓迎です」
「じゃ、真琴。帰ろう」
「奏もたまには帰ってお母様とお父様に顔を見せなさい」
「棗と晶がいたら十分だよ」
奏は催促するように、ぐい、と少し強引に真琴の腰を引き寄せてた。
二人は玄関前で待機していた車に乗り込んみ、二人の帰るべき家へと出発した。
瀬戸家の境遇を目の当たりにして、一歩近づいたはずが、また一歩離れたような、そんな奏の心の壁を真琴はひしひしと感じていた。
【第十四話 終わり】
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