【第十四話】生まれたところ

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「ほんっと、最低!」 「真琴が可愛かったからつい……。真琴も興奮してたでしょ」 「してない!」 「そんなに怒らないで。後でもう一回しよう。今度はちゃんと顔が見える体位で。もっと優しくするから……」  奏はそのまま真琴の耳を喰みながら、真琴の太ももの内側をさすった。 「ひゃんっ!」 「真琴の気持ち良い場所、だんだんわかってきたんだ」  そう言って微笑む奏の瞳はギラついていて、怖いほど美しかった。  *  *  *  夜が明けた。  あの後結局もう一度抱かれ、二人は快楽を重ねた。  朝食は晶、奏、真琴の三人で囲んで、晶はとても満足そうだった。  着替え等を済ますと、午前中のうちに瀬戸家を後にすることになり、晶は見送るため玄関先までついてきた。  朝食時にはいなかった棗も顔を出してきた。  前回と同じような仏頂面だったが、久々に帰宅した奏には興味があったらしい。 「真琴さん、奏、またいつでも来てください」 「ありがとう。棗さんもお見送りありがとうございます。お話しあんまりできなかったですけど、また今度はゆっくりお話しさせてください」 「いつでも歓迎です」 「じゃ、真琴。帰ろう」 「奏もたまには帰ってお母様とお父様に顔を見せなさい」 「棗と晶がいたら十分だよ」  奏は催促するように、ぐい、と少し強引に真琴の腰を引き寄せてた。  二人は玄関前で待機していた車に乗り込んみ、二人の帰るべき家へと出発した。  瀬戸家の境遇を目の当たりにして、一歩近づいたはずが、また一歩離れたような、そんな奏の心の壁を真琴はひしひしと感じていた。 【第十四話 終わり】
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