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タクシーに乗り込み、真琴はぐったりと項垂れながら運転手に目的地を指示する。
到着するまでの約二十分間、車内に会話はまかった。
時々真琴が小さな声で唸るのが聞こえると、御堂は「大丈夫?」と声をかける。
真琴がこの場で食べたもの全てを吐き出してしまうんじゃないかと気が気でなかった。
しかし、その後は何ごともなく、無事に目的地へと到着することができた。
本来だったら御堂はここで真琴と別れるつもりだった。
やはり、恋人でもない女性の住む部屋まで送り届けるという大胆な提案をする勇気はなかったからだ。
しかし、そんな御堂の葛藤など気にも止めず、真琴の方から提案が飛ぶ。
「ごめん御堂くん……、マンションすぐそこだから、玄関まで肩貸して……」
そういえば、真琴は今誰かの家に居候をしているのではなかろうか。その家の誰かに迎えに来てもらうことはできないのかと疑問に思うも、御堂は自分が頼りにされたことに浮かれてしまい、その提案を受け入れる。
真琴に肩を貸しつつ、指示された通りにマンションに向かう。
真琴が今住んでいるであろうマンションは、想像以上に高級な雰囲気が漂っていることに圧倒された。
エレベーターに乗り込み、真琴が指示するまま、十階の角部屋に辿り着く。そこには「瀬戸」という表札が出ていた。
「うん、ここまでで大丈夫……」
真琴は鍵を取り出し、玄関扉を開くと、そこには今まで待ち構えていたかのように、高身長の優男が立っていた。
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