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夜も深まり、普段ならお互い寝静まった時間帯に、真琴はこっそり奏の寝室に忍び込んでいた。
菜知の言っていたスマホの待ち受けを一目見てやろうという計画だ。
他人のスマホを見るというのは卑劣な行為であるとわかっているが、何も中身を見るわけではない。
待ち受けを見るだけ。それは菜知にだって見せているものなんだから真琴が見たって構わないものだろう。
一体そこに何が隠されているのか……真琴はこれを解明しなければ気が済まなかった。
寝室はすべての明かりが落とされ、真っ暗闇で、奏がしっかり眠っているのを確認した。
枕元にスマホが置かれているはず。半分手探りだが、そうっと音を立てず枕元に手を伸ばす。
固くて冷たいそれらしきものに触れた。
そのスマホを手繰り寄せ、指で画面をタッチすると、液晶が光り出す――が、当然ながらスマホはパスワードのロック解除を求める画面で、その待ち受け画像は何の変哲もない初期設定の背景画像だった。
菜知が言ってたものは、ロック画面の待ち受けの方ではないことを悟るとがっかりした。
さすがにロックの番号を当てる作業は骨が折れる。
それに、そんなことをしている姿が見つかってしまえば自分の信頼が地の底に落ちる。
今日のところは退散しようとスマホを元の位置に戻した時、布団の中から伸びたものに手首を掴まれる。
部屋が真っ暗だったこともあり、ホラーのような展開に真琴は小さく悲鳴を上げた。
布団がもぞもぞと動き、布の擦れる音がしている。
真琴の手首はその布団の方へとひっぱられ、ベッドへ倒れ込んで、そのまま布団の中へと引き摺り込まれてしまった。
真っ暗で目が効かない。
どうなっているのか何も見えず、慌てふためいていると、すぐそばから甘く優しい声がした。
その声の主は、今まで眠っていたからか、少し掠れた声で囁く。
「何してるの?」
「あ……」
少し暗闇に目が慣れると、眼前に奏の顔があった。暖かいものが唇の上に一度だけ重なる。
「ダメだよ、悪いことしちゃ……」
「ご、ごめんなさい……」
「罰として、今日はこのままね」
「えっ!?」
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