【第四話】ここに居させて

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「思ったより日当たりが悪いですね、ここ。それに水回りの清潔感が感じられない。病気になりそうです」  ――次 「前の住民はタバコを吸われてたんですか? 少し臭いが残っている気がします。これだと衣類にも臭いが移ってしまいますよね? せっかく新しく買った洋服がこれじゃあ台無しになりますね」  ――次 「家賃上仕方ないですが、セキュリティが甘いし壁が薄すぎます。確か、この部屋の隣って男性ですよね? 女性を住まわせるのは安心できませんね」  奏は三件回った家全てに、重箱の隅をつつくようなダメ出しをする。  もともと真琴は都内で家賃六万以下……という厳しめの条件で探していたのだから、奏のお眼鏡に適うような物件などハナから存在しない。  不動産屋の担当者も思わず困った様子の苦笑いを浮かべている。  ――一人暮らしするのを止めないって言ったのに!  真琴は奏を連れてきたことを心底後悔し、奏が文句を唱える度に、担当者に頭を下げた。  当然ながら、この日は結局どことも成約せず終わってしまった。  帰宅するなり真琴は大声を上げて不満をぶちまける。 「ねえちょっと! 今日の態度は何!? もうあの不動産屋に相談できないじゃない!」 「真琴のことを思って言っただけだよ」 「余計なお世話よ! 嫌がらせにも程がある!」  そう言って真琴は自室に篭ってしまった。第三者を巻き込んで困らせた行動に、真琴は心底腹が立っていた。 *  *  *
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