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一時間ほど前――。
奏のマンションの前に一台の黒のセダン車が停まっていた。
空はすっかり暗くなってしまっていたので、その車の中の様子を外からは覗うことはできない。
車の中の人物がマンションの前にある歩道を眺めていると、衣類が詰まった紙袋を携えた真琴が帰宅し、マンションに入って行く様子が見えた。
その人物は、真琴を見つけると少しだけ窓を開き、彼女を肉眼で捉え、ぽつりと呟いた。
「奏……どうしたら帰ってきてくれる?」
【第四話 終わり】
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