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【第七話】触れてほしいだなんて
六月下旬、真琴はとあることに頭を悩ませていた。というのも、もうすぐ奏の誕生日――七月一日がやってくる。
誕生日には何もしなくても良いと言われたが、居候の身でこれだけお世話になっているとそういうわけにもいかない。
日頃の感謝の意を込めて、彼に何かプレゼントを贈ろうと思うが、何が良いのかわからなくて、思い悩んでいた。
過去を思い返すと、幼馴染という長い付き合いの中で、毎年プレゼントを贈っていた時期はあったのだが、中学生だか高校生あたりの年齢で、その習慣はなくなってしまった。
思春期になり周囲から二人の関係をからかわれるのが恥ずかしくなったのもあるし、その頃には奏のことを天敵として認知するようになってしまっていたからだ。
――彼の欲しい物なんて思いつかない。
家の中ではよく読書している姿を見かけるけれども、真琴は普段読書をしないので、どんな本が喜ばれるのかがさっぱりわからなかった。
自分で良い物かどうか判断できない物は避けるべきだ。
奏本人に直接欲しい物を聞いたら良いのだろうけど、自分にとって良くない回答をされそうなので、それも避けたい。
真琴の性格上、回答を聞いてしまうと要求を飲まざるを得なくなってしまうからだ。
堂々巡りの思考を一旦隅に置いて、自分の好きな物に置き換えて考えてみる。真琴の趣味は可愛い洋服を集める事だった。
服飾に関する物であれば、本よりかはセンスの良い物をあげられるかもしれない――そう考え、プレゼントの方向性を絞っていく。
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