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その日の週末、奏は一人リビングでコーヒーを飲みながら読書を嗜んでいた。
真琴は予定通り女友達とプールに遊びに行ったので、今日この家には居ない。
まだ少し心配なところがあるものの、彼女を信じることに決めた奏は、問題なく彼女を送り出した。
しかし、読書をしていても文字がすんなり頭に入らなくて、同じ所を読み直してしまうような失態を繰り返す。
今日はもう辞めておこうと本を閉じた時、スマホにメッセージが届いた。メッセージアプリを開くと、それは真琴からだった。
文章はなく、ただ写真が一枚送られている。
開くと、女性三人が写った自撮りの写真だった。
中央に真琴が居て、両端は奏が見たことない女性達が居た。
角度的に、一番右にいる女性が自撮りした物のようだ。
写真をすかさず保存して、真琴だけをズームにして、まじまじと水着姿を眺めてしまう。
数秒画面から目を逸らし、ゆっくり深呼吸をして、また荒ぶりそうな感情をそっと鎮める。
《もっと送って》
《暇な時があったらね》
真琴からの返事は早かった。
反応を待っていたのだろうか? それだったら伝えることは一つだけだ。
《水着、似合ってる。可愛いよ》
そのメッセージに真琴からの返事はなかったものの、画面の前で顔を真っ赤にしながらも喜んでいる彼女の表情が思い浮かぶ。
空になったコーヒーカップに再びコーヒーを淹れにダイニングへ向かう。
次はどんな写真を送ってくれるだろう、真琴が喜びそうな言葉は何だろうとあれこれ想像しながら、奏は真琴の帰りを従順に待っていた。
【終わり】
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