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シュウサク
僕の名前は修作。シュウサクと読む。
古風だな。佐藤栄作って名前、歴史の授業で習ったし。でもこのくらいの古さはむしろかっこいいよ。俺はそう思う。
と、今日、アケヒさんに言われた。
古風。それは事情を知らない人の言い方だ。
僕の名の由来を知らない人。
雲切博士が語るには、修作は、習作。
葵という完全体を作るための習作。
お前は葵より二年も前に完成したが、習作だからね。不具合もあるから目立たないように、葵のみを作品として公開しているのだ。
僕には不具合がある。
でも自分ではどこかわからない。
限りなく人間に近い質感を持つボディに、高度な自習システムを備えた頭脳。そして雲切博士の作品である、という点では同じ。けれど葵と僕には厳然たる差異がある。生粋の人間ならば個性と呼ばれる差異でも、人工物の場合は性能の優劣という比較評価になってしまう。
不具合のある人造人間の僕は、完成してから三年間は一人だけで外出することはなかった。その点でも、完成してひと月後には一人で街を歩いていた葵とは異なる。
外の世界は関係性と偶発性に満ちている。
葵に遅れること十一か月。大学に通うようになった先月からは僕も一人で出歩き始め、僕がヒューマノイドとは知らない人と会う機会が増えた。
言葉遣いも、刺激への反応も、僕らの能力は対人対応の経験を重ねるほどに向上する。外に出る。そのことにより、僕だけの独自の成長を手に入れる可能性が広がった。
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