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欲求めば潜む闇
あの日とは夏休みのとある日のことを指している。
その日、焔達は輝人に誘われ肝試しに行った。
しかし、肝試しの最中に有名な推理小説家に拐われ、ある推理ゲームをさせられた。
だが、それは焔によって解かれた。
二人は無事に帰れると思いきや、彼の最後に巻き込まれた。
でも焔にとって、良いきっかけをもたらした。
悪人が足らしめる理由を。
だが、それが終わった後が警察の事情聴取されたのは仕方ない。
そんな大事件の生存者だから、学校の生徒や教師達に黄色の目で見られるのが耐えられないのだ。
だからこうやって周りから見られない場所に来るのだ。
「それで気になってることって?」
「戻ってきた時、焔君……様子が変だったから」
そう言われると、その日彼女に見られていたんだと不意に悟った。
「いや……あんな良い人そうでも悪人になってしまうんだなって」とそれらしい理由を言ってみると灯岡ははぁと息を吐いてから空を仰いだ。
「そうね……人はいずれそう言った感情に振り回されるんじゃないかな。自分の有終の美を見てほしくて……」
彼女なりの人間の解釈をするけど焔は違うことを考えていた。
(大事な人を殺されたんだ、狂ってしまうことだってある)
そう思った瞬間、脳裏に母親の無惨な死体が浮かんだ。
(そうだ……母さんが殺されたときと同じ感情を抱いたんだろうな)
あの小説家と同じ復讐心を思い出し、さらにまた脳裏に犯人の姿を思い出し、ああ言われたことも。
“俺を殺したくば自分と同じ闇に落ちな”
最初はこの言葉に飲まれないよう自分の正義を信じた。
しかし、その翌日。
彼は自分の憎悪を爆発させた。
自分のやった行為に恐れを抱き、二度とやらないと決心したはずなのに、闇に落ちたまま正義を振るえば良いのではないかと考えてしまった。
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