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それから、弁当を持って立ち上がりそして、目に見えぬよう煙草を足でなぎ払った。
その人が立っていたであろうその場所を彼女にバレないように……痕跡を悟らせないようにそしてこれを行った相手に忠告を悟らせるように。
全てが消える頃に彼女がやってきた。
「遅くなってしまってごめんなさい?何かあったの?」
彼の不審な立ち位置に疑問を持ったのか灯岡がそう言ってきた。
「いや、何でもないよ。ほら早くお昼食べよう!」
はぐらかしさらには催促して何もないよと言わんばかりに対応をしてきて灯岡はそれ以上は何も言えなかった。それで仕方なく彼女は頷いた。
弁当を持っていつもの場所に座り、広げて数分だけ黙々と食べていたけれど口火を切ったのは焔だった。
「それで用事は何だ?」
その言葉を聞いて彼女は箸の手を止めて、一度深呼吸してから話を切り出した。
「実はあの日のことを気にしてたの」
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