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ようやく、授業が終わりそれぞれ帰宅していた。
焔は輝人などの友人に別れを告げ、一人で下校し妹がいるであろうバスの駅まで乗り続けた。
20分程で着くと、すぐに結衣のいる下校道に急いだ。
いくつもの信号機を過ぎてからようやく友達と寄り添って帰ってる彼女を見つけた。
歩行者専用信号機が赤になっているとき結衣が手を伸ばして足を踏み出そうとしていた。
それで咄嗟に大声で「結衣!!」と叫んだ。
その瞬間、彼女はその声に気づいて慌てて前に向いた同時に不意に乗用車が目の前を通過した。
通り過ぎてから結衣は恐怖のあまり、腰が引けてその場に座り込んでしまった。
それから、焔は反対側で信号が青に変わるのを待ってから行き、そして彼女の背中をソッと自分の方へ抱き寄せた。
「大丈夫か!結衣」
そう言うと、結衣はホッとしたからなのか急に瞳に水を潤してから彼にギュッと彼の制服に握り締めた。
「よしよし、落ち着くまでこのままでいてやる ……」と優しく言ってから彼女の背中をそソッと優しく撫でて泣き止むまで続けた。
結衣が泣き止む頃には夕方の音楽が流れ始める時だった。
彼女は思いっきり泣いてしまったことに恥ずかしくて困惑するが焔が彼女の晴れてしまった両目をポケットに入っていたハンカチを取り出そうと思っていたけどその中に大事な手掛かりを包ませていることに気づき、咄嗟に妹のランドセルに入っているハンカチを使うことにした。
二人で近くの公園まで行き水道を使ってそれを濡らし程よく雑巾絞りで水を切ってから差し出した。
「しばらく、それを当てな……家に着いたら腫れが治まるはずだ」
そう言われて結衣は言う通りに濡れたハンカチを目元に当てた。
「これからはちゃんと信号を見て渡るんだぞ」と先程起きたことを諭してから、自分の手を洗ってから自分のハンカチの存在を確かめた。
それはまだちゃんと残っていた。
ホッとしてから水道の蛇口を閉めてから適当に水を払ってから結衣に向き直った。
「さて、スーパーに行って帰るか……」って言ったら、まだ腫れているであろう結衣の目蓋はまだ開きそうになかった。
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