欲求めば潜む闇

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それで、焔はすぐさま彼女手を掴み、足取りは出来るだけゆっくりと歩き始めた。 「俺の手を離すなよ」と注意を促すと彼女は離すまいと言わんばかりにぎゅうっと彼の手を握り締めてきた。 そして、スーパーに行って妹のランドセルをカートの箱乗せ場所に置いて、今日の晩御飯の分となるべく簡単に済ませそうな物レトルトをカートに入れて、後は朝食に使う食パンを求めて、売場に行くと何故か上着を脱いだ父が同じ場所にいた。 「父さん!」 彼の声に気づいたのか彼もこちらに顔を向けた。 「二人とも、今帰りか?」と言ってから二人の様子を見てくると不意に結衣の目が赤くなってるのに気づいた。 「結衣!どうしたその目は?」って心配して声をかけてきた。 「なんでもない!」と反すけど、焔が背伸びして父親の耳に今日あったことを教えた。 その瞬間、彼はクスッと小さく笑った。 「焔、良くやったな。それと結衣、ちゃんと安全確認しないとダメだろ」と二人にそれぞれに言ったら、今度は焔が父に質問を言った。 「それで父さんは今日は帰ってくるの?」と聞いた時焔の携帯に小さな振動を与えた。 その振動の正体を探ろうと空いている手でズボンのポケットにある携帯を取り出した。 それで、見ようとしたとき不意に彼の耳にある特有の悪意の声が聴こえてきた。 (さっきまでいなかったのに……!) 『早く……一人になれる場所を……!』 これは悪意と呼ばれるものなのか、それとも欲望の声に近いのか判別がつかなかった。 いつもなら直接的な声が聞こえるのにこれの場合は初めてだった。 (もしかして、メールの内容は……)とその推測まで読み取り、自然なまでの振る舞いを見せた。
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