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「はい、どうぞ。このくらいなら食べられるか?」
食事が出来ると、百円ショップで購入した子供用のくまの絵柄がついた皿に小さくこねたハンバーグとサラダを少し入れてあげた。
「僕がこねこねしたハンバーグ?」
「ああ」
「わぁ、色が変わったねー!」
「しっかり焼いたからな。ケチャップもかけてある」
「ワクワクだね!」
しかし、肉を食べるチューリップって……。
「頂きます」
「い……いただきます!」
「フォークで刺して食べるんだ? できるか?」
「あいっ! おにいしゃんのまねっこできる!」
誰かと食事をしたのも久しぶりだな。
「美味いか?」
「美味しい美味しいだよ、おにいしゃんっ!」
「良かった」
「おにいしゃんのご飯食べてハッピーだよ!」
「あ、口の周りケチャップだらけ。拭かないと」
「やっぱりおにいしゃんは優しいね!」
「そうか?」
「うん! おにいしゃんが優しいから僕は生まれたんだよ! お花の妖精はね、心がきれいきれいな人としかパートナーになれないの! おにいしゃんの心の色はまっしろけっけ!」
「見えるのか?」
「うん、魔法で見えるよ!」
そんな力まであるとは。
「すごいな」
「だから、みーんな心がまっしろけっけなパートナーを選ぶの!」
「他にも妖精がいるのか?」
「うん、春は桜の妖精さんとか!」
「へぇ、気になるな」
この子みたいなへんてこりんな子供が他にもいるって事か。
「これからは僕がおにいしゃんハッピーにするからねっ」
「ハッピーって……」
「大丈夫! 僕にまかしぇて!」
小さいのに頼もしい子だな。
だけど、この子が現れてから久しぶりにワクワクしているんだ。
今迄の退屈な日常が一変していく。
「おにいしゃん、チューリップの髪あわあわになったよ! あわあわあわあわ!」
「ほら、洗うからじっとして」
とりあえず人間の子供と同等に接してみてはいるけど、こんな感じで良いのだろうか。
夕飯を共にし、お風呂に入れ、一緒に眠る。
「ぶぉーん! 風がしゅごい!」
「ドライヤーな」
とりあえず、この子が手のかからない子だという事は一日で理解した。ワガママは言わないし、お風呂に入れる時も、ドライヤーで髪を乾かす時もされるがままだ。
普通の子供だともっと大変な気がするけど。
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