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彼と同じ布団で眠り、朝を迎えた。
やはり彼と眠る事で俺は安眠を得られるようだ。
「はぁ、今日は会社行かないと。とはいえ、この子をどうするか……」
「僕、お家で良い子しゅる!」
「そうもいかないよ。あ、そうだ。チューリップに変身出来るんだよな。長時間変身する事になるけど……」
「変身できるよ!」
「ただし、俺が良いって言うまでずっと花の姿でいる事。出来るか?」
「あいっ! じゃあ変身ーっ!」
会社には花の姿になった彼を連れて行く事にした。
まあ、家に小さな子供を置いていくわけにもいかないし。
だけど、いざ会社に着くといつもの如く課長が不機嫌な様子で俺の元へやってきた。
昨日休んだ分、パワハラが倍になる予感しかない。
「昨日急に休むとはどういう事だ? 長谷川っ!」
「申し訳ありませんでした」
「全くこんな忙しい時期に体調不良で休むとは。迷惑なんだよ! 30年も生きていて体調管理が出来ないのか。本当に無能だな、お前は」
自分だって少し調子を崩したら休むくせに理不尽だ。だけど、自分の中にある不満はいつだって胸の中に溜まっていくだけ。
「以後気をつけます」
「昨日休んだ分たっぷり働いてもらうからな。今日は早く帰れないと思え」
「はい」
「全く、無能しかいないな、この会社は」
体調大丈夫ですかの一言さえもくれない。この会社には信頼できる人間はいない。
「うわっ! なんだ、これは」
だけど、課長が席に戻った瞬間だった。
突然課長のデスクの周りに大量のチューリップが咲き始めた。
まさか、彼の仕業か……?
「全く! 君、とっととこの花全部廃棄したまえ。何が起きてるんだ、全く……」
課長はチューリップの花の廃棄を近くにいた女性社員に頼む。
廃棄って……。
「せっかく綺麗なチューリップなのにね」
「でも、どうしていきなり床からチューリップが?」
俺は鞄を抱えて慌ててビルの屋上へと駆け込んだ。
「君がやったのか? あのチューリップ……」
「だって、おにいしゃんに意地悪する悪い奴なんだもん。お花見たら優しくなると思ったの」
「無いよ。あの課長に限ってそんな事」
「あの人、心がまっくろけっけだったよ!」
「まっくろけっけって……」
「あの人だけじゃないよ! たくしゃんの人がまっくろけっけだったよ」
ブラック企業だからな。
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