別れの時間《とき》

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別れの時間《とき》

 パーティーが終わりイケメン君とあの商店街を歩いていた。あの日ここで彼と出会ったんだ──  「あー超楽しかったー!美華の悔しがる顔が見れてスッキリしたー。ありがとう!」  「こちらこそ楽しかったよ。お役に立てたのなら良かった。まさかあの時のお涙ポロポロだったお姉さんから電話がくるとは思ってもいなかったよ。元気になって本当に良かった。」  そう言って彼は私の頭をポンポンと撫で優しい笑顔で笑った。あまりのイケメンさに心臓がドキドキとして顔が火照るのを感じた。  “このまま彼と一緒にいれたら……”一瞬そんな気持ちが頭をよぎる。  「あの……」  そう言いかけた時、別れを告げる携帯のアラームが静かに鳴った──  「今日は本当にありがとう。あなたに出会えてよかった。ポケットティッシュありがとうね!」  言いかけた言葉をのみ込み私は彼にお礼を言った。  「こちらこそ有難うございました。 でももう、ポケットティッシュは必要なさそうですね。」  「うん。もう大丈夫。あなたのお陰だよ。本当にありがとう!」  「こちらこそ。本日はご利用ありがとうごさいました。」  そう言って去って行く彼の背中を見送りながら心の中でもう一度お礼を言った。  「ありがとう。名前までイケメンの  池男(イケメン)くん。」  
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