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私はいつものように主が眠った後に電気のスイッチをコチンと切る。
他には何もできないのがやるせない。
こんな私と暮らし続けてくれる主は幸せなのだろうか。
足が蔦に縛られて、樹木として生きるしかなくなった啄木鳥に、目の前の木を家の柱に仕立て、電気のスイッチを口元の樹皮に取り付けた主が最初に言ったのは、
『貴方にしかできないことよ』
ふと、主の寝顔を横目で見ると、作業で疲れて眠ってしまっているのに幸せそうに笑みを浮かべていた。
それを見ると私はやはり、こう改めて思い直すのだ。
私にしかできないことと言うのは、この電気のスイッチを叩くだけではないのかもしれない。
心の中で少し笑みが零れた。
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