霊媒師 夕霧 弥生 第一章 椿

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女性が断崖絶壁に立っている 下を見ると、足が竦む程高い岸壁だ 荒波が岩を叩きつけている 女性は今にも飛び降りそうだった 私は思わず声をかけた 「危ないわ、こっちに来て」 女性がゆっくりと振り返り私を見た 目が合った 16、7歳位だろうか、薄いブルーのワンピースが 風に揺れている 私を見て微笑んだ様に見えた 長い髪が風に吹かれ、サラサラと揺れている 女性はまた海を見て、そのまま身を任せ飛び降りた 「あぁっ!」 咄嗟に走って行こうとしたが 何故か足が動かない 「なんで?」 目を開けガバッと飛び起き、辺りを見渡した 自分の部屋だった 「夢?ハァ夢でよかった」 胸がドキドキして寝汗をかいていた 時計を見ると、午前2時13分だった 「又だ、今日で3日目、リアルな夢過ぎてキモい 何度も出て来る見知らぬ人、あの人誰?」 ベットの横にある、サイドテーブルのスタンドを つけると箪笥の引き出しからタオルを出し 顔や体を拭きパジャマも着替え 階段を降りキッチンに行った 「眠いのにぃ こんな時間に変な夢ばかり見ちゃて最低」 私は西条美鈴 当時は祖父母の家で、両親と私の5人家族で 幸せに暮らしていた 二階建てで5LDK、小さな庭付き一戸建だ 今は、そこで1人暮らしをしている 祖父母は私が7歳の時に病気で、相次いで亡くなり 私が20歳の時に両親が、交通事故で突然亡くなり 親戚付き合いも無く天涯孤独だ 両親が家と貯金と生命保険を残してくれていた 事故を起こした加害者側からも、それなりの 保証金も入り生活の心配は無かった 寂しい気持ちは未だに消えない 落ち込まず大学迄行き、無事に卒業したが とても寂しい卒業式だった 友達はいるが最近は、電話さえしなくなった 会社の内定が決まっていたが、行くのはやめた 今の私はニートそのもの 何もする気がしない 神経が疲れているのか、いつも同じ夢ばかり見て 目が覚めてしまう 冷蔵庫から冷たい水をコップに入れゴクゴクと 飲んだ 「ふぅ落ち着いた」 トイレを済ませ又寝ようと思ったが、何故か 気になりパソコンを開いた 「あの人誰だろう?事件なんてないよね リアルで、いつも同じ夢って.....」 パソコンで検索しようと思ったが、やめた 「私ったら何してるの? こんな真夜中に、馬鹿みたいじゃん 夢なのに気にしないで、もう寝よっと」 午前3時を過ぎていた ベットに潜り込み、深い眠りに入っていった
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