霊媒師 夕霧 弥生 第一章 椿

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目を覚ますと昼になっていた 「えっ!もうお昼じゃん」 飛び起きると顔を洗い、祖父母の部屋の仏壇には両親と祖父母写真が置いてある 線香を立て手を合わせた 「お婆ちゃん達の好きだったお茶 ママ達が好きだったコーヒーだよ 遅くなってごめんね」 優しい笑顔の写真を見て、大きく溜め息をついた 「一人ぽっちになっちゃったよ 何とか言ってよ、寂しいよ」 暫く写真を見ていたが、気合いを入れた 洗濯、掃除を済ませ庭の花に水をやった 私は空を見上げて、いつも話しかける 「お婆ちゃん達が大事にしていた サルスベリの花が今年も咲いたよ お爺ちゃん、お婆ちゃん見てる? ママの好きだったペチュニアも植えたよ 綺麗でしょ、見てる?パパ、ママ」 遅めの昼食を作り、仏壇に小さな皿に盛った 食事を置いた 大きなキッチンテーブルで、1人で食べる 4つの椅子は空席、侘し過ぎる 「いただきます」 1人だけの食事は、余りにも侘しい テレビを見ながら食べるのが日課になった 音が無いと寂し過ぎるから..... その時、私は箸を止めた 「あっあの人、夢で見た人だ!」 テレビに駆け寄り真剣に見ていた 「行方不明?高校生で制服の写真 服は違うけど、あれは本当にあったって事? 見知らぬ人が、何で何度も夢に出る訳? 5日前から未だ見つからず、家出か誘拐の 可能性? 夢に出て来たのもそれ位だった 夢では飛び降りてたけど あの人は、三島 椿さんて言うんだ あの岸壁は何処だろう?見た事あるような 警察に早く知らせないと」 スマホを握りしめ、ふと考えた 夢で見たと言って誰が信じるだろう 「どうすればいいの?どうしょう」 私は2階に駆け上がった 学生時代に美術部にいた 私は絵を描くのが好きで、今も趣味で描いている 小さなスケッチブックを取り出し 昨日見た夢の場面を、思い出しながら 描いてみた 「こんな感じだったなぁ でも、信じてくれないよね夢だし..... 変な人って思うよね普通」 キッチンに戻り悩んだ、何故か落ち着かない 仏壇の前に座り込んでしまった 「自分自身が変な夢だと思うのに、私に何かの 力がある訳でもないし、普通の凡人だもんね お婆ちゃん、ママどうしたらいいの?」 しばらく、考えたが答えは出ず 仕方なくコーヒーとお茶を、仏壇から戻そうとしたその時、手が滑りカップをガタンと倒してしまった 「あっヤバ、ごめんね 直ぐに拭かないと、もう〜、ついてない最低」
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