霊媒師 夕霧 弥生 第一章 椿

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「椿さんの歳は確か......」 「16歳です」 私は手をかざしながら、クローゼットの扉を開けた ウォーキングクローゼットの中には、可愛い服や靴、バック等が綺麗に整頓されている 制服の前で止まった (これだ、感じる!) 制服をハンガーから外し、手に持つと椿の姿が 見えた 数人の友達と笑いながら学校帰えりに ガレージセールで、売られているのを見ている 手作りのアクセサリーや古着、小物等が並んでいる 古い箱に入っているネックレスを、椿が手に取り じっと見ている 友達は見ているだけで、買わなかった様だ 売っている男の顔が見えない 何か違和感を感じた (全て盗品だ!こいつ盗んでは売ってるんだ 最低な奴) 黒い帽子を目深に被り、全身黒ずくめの男 服装から見て30代位に見える (リン、この箱がおかしいと思うけど違う? 箱を探さないと、そうでしょ?) リンが光った 制服を抱き締めながら、箱を探した 手をかざし集中し探した (上?クローゼットの上にある!臭いが強い) 「すみませんが、椅子をお借りできますか?」 三島の母親が慌てて、折りたたみの椅子を持って 来た 「何かあったんですか?」 三島の父親は、まだ信じていない様だ 立ったままで腕を組み、見ているだけだった クローゼットの上の一番奥の、空箱の中に 隠す様に入っていた 箱ごと取り出し、椅子から降り椿の机の上に 置いた ゆっくりと蓋を開けると、そのネックレスの 入っていた箱に手をかざしてみた (間違いない、凄い怨念を感じるわ) その箱は、かなり古い時代の桐の箱で 蓋の裏に墨で、大正15年2月13日節子と書かれて いた 薄汚れ文字が、時代を物語っている (2月13日?まさか2時13分はコレだったんだ 節子ってこのネックレスの元の持ち主だね だけど惨殺されたんだ その後、時代と共に沢山の人から人へと このネックレスは、引き継がれて行き そして最後に椿さんが、付けていた リン、付けていた人は全て殺されたり自殺してる だから怨念が強い訳だね それに呪われてる 浄化して封印しないと、でも私に出来るの?) リンがピカピカっと真っ赤に光った途端 私の腕のアザが、炎の刻印と同じ形で浮き上がり 自然に体中が熱くなり、霊媒師としての力が 湧き上がった (コレって手強い怨念と呪いがあるって事だね この箱に早くネックレスを入れないと!) 「三島さんネックレスを持って来てください」 「この箱に入っいたのですか? でも、どうして隠す必要があるんですか?」 「三島さん落ち着いて聞いてくださいね ネックレスとこの箱は、強い怨念で呪われて いるんです 椿さんは、呪われてしまったんです」 「ええっ!椿が呪われて自殺したとおっしゃるんですか?椿がどうしてぇ」 「三島さんしっかりしてください 早く浄化しないといけないんです そうしないと、また誰かが死ぬ事になります」 「わ、分かりました、直ぐに持って参ります」 母親は急いで階段を駆け下りた 「椿がネックレスに殺された?馬鹿馬鹿しい 冗談ですよね、夕霧さん」 「ご主人はまだ疑ってるんですね 信じて貰え無くてもいいんですけど とにかく、早く浄化しないと 椿さんが閉じ込められて、苦しんでいるんですよ ご主人は椿さんと、真剣に話しを聞いてあげた事がありませんね 椿さんは寂しい思いをしていた事もご主人は 気づいていなかった そんな時、呪われたネックレスが椿さんの心の隙間に入り込んだんです 椿さんの遺書が無かった筈です 日記に何故、死を選んだか書いたんです ネックレスをした頃から、自分自身が何にか 変わった事に気づいていた様です 外そうとしても外せなくて、日記に書いた でも、信じて貰えない 、聞いて貰えないと思って 破り捨てたんです」 「椿はそんなに辛かったのか......椿ごめん 確かに、面と向かって話しをしていなかった 仕事が忙しくて、父親らしい事をしていなかった 妻に任せっきりでした 私は父親失格です、馬鹿な父親でした 先生、疑って申し訳ございませんでした どうか椿を救ってください、お願いします先生」 父親は泣き崩れた
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