私だけだよね、たぶん。

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 首筋に君に愛された跡がついてる……。  鏡の前に立つ私に付いていたのは〝キスマーク〟ではなく〝歯型〟だ。  いわば私は彼のだった。  好きな時に私を侵食して、勝手にどこかに行って、また気まぐれで戻ってくる。  そのふらふらした最低な彼に私はあきれながらも、どこか惹かれていた。  淡白な瞳に、彼の発するチョコレートのような言葉。  ……飴玉ではなく、チョコレートだ。後からほろ苦さが襲ってくるから。  私と彼の関係にきっと名前はない。そして、彼にとって私は特別な存在ではない。  でもそれでよかった。  まだ、特別になれるから。  彼からこのまま離れなければ、きっと私のことを見てくれる。  この痛みにだって、他の子は耐えられなくてどこか行っちゃうんでしょ?  だから戻ってくるんでしょ?  それならいいよ。  だって共依存でしょ?  結局私だけだって、私にしか出来ないことだって知ってるから。  私だけが耐えてあげるね。その痛みに。歪んだ愛に。  ……だから、早く帰ってきて。  
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