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◆◆◆  虚ろな毎日、とは言わない。 周りの人や環境に恵まれ、食うのにも生きるのに精一杯という生活でもない。 ……けれど、あの日、助けられた命は最後まで消費しなければならない。抜け落ちた大切なものは、もう永遠にこの手のひらの中に欠片もないのに。  白い部屋は苦手だ。辛い記憶が揺さぶられ浮かび上がってくる。 白くて広くて綺麗な子供部屋は、子供達が過ごす為に必要な玩具や絵本で溢れかえっている。だけど、そこにいる子供達の瞳は絶望に満ちていて、温度調整がはいっている音がするのに、寒ささえ感じた。 誰も助けてくれない。 誰も助からない。 絶望が静かに息をする、子供達だけが暮らす、地獄の世界。 『……い、お……にげ……て』 だから、あの日、あの瞬間、伊織が伸ばした指先は少しも触れることができなかった。
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