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バタっ
「うっうぅ」
「だ、大丈夫ですか?!」
「待っててください!今救急車を呼びますから。」
「ま、まって。病院だけは嫌。」
「うーん。でも、」
「お願いです。病院だけは嫌。」
「それじゃあ、私の家に。」
と言って私は街で倒れていた男性を家に連れ帰った。ベッドに寝かせ、熱を測ってみるとなんと39度も熱があったのだ。私はこれは放っておかないなと思い、介護することにした。あぁ自己紹介してなかったね。私の名前は中野宮子(なかのみやこ)近くの高校に通っている。一人暮らしの普通の高校生だ。
「さてと、熱があるからおかゆとか作ったほうがいいのかな。」
ぐつぐつぐつぐつ
「風邪にはネギが効くんだっけ?ネギをたくさん入れようかな。あとは卵も入れてあげよう。」
「よし!できた!あとはあの人が起きたら温めようかな。」
「今のうちに氷枕作ろうかな。」
「よし」
「あとは体を拭くようのタオルとぬるま湯かな」
「ん、んんー」
「あ、起きた!」
「ん、ここは?」
「おはよう!ここは私の家だよ。あなたは街で倒れていたの。病院は嫌だっていうから私の家に連れてきたの。」
「そう、だったのか。ありがとうな。」
ぐぅぅぅー
「あ、」
「お腹がすいたんですね。熱があるのでおかゆ作ったんです。いま温めてきますね!」
「あ、ありがとう」
「あ、あと朝書いてたりしたらそこにタオルあるんで体拭いてていいですよ。できない場合は言ってくださいね。」
「お、おう」
「おかゆできましたよー」
「はい、どうぞ」
「いただきます。」
「う、うまい!」
「ふふ、よかった。」
「ところであなた、お名前は?」
「ああ、おれは稲垣健(いながきたける)だ。」
こんな感じで私は稲垣さんの熱が治るまで看病してあげた。
〜数日後〜
稲垣さんの熱はすっかり治り、稲垣さんは家に帰る。すると、稲垣さんが、
「おい、宮子だったか。おれと付き合わね?」
「え?」
「ちょっと仕事はあまり良くないことしてるが、お前のこと大事にする。だから付き合ってくれ。」
「あまり良くない仕事って何?」
「ちょっと裏社会の仕事だ。」
なんと稲垣さんは裏社会の悪い人間だったのだ。
「流石にそんな人とは付き合えません。」
私はキッパリ断った。
次の日、私の家に稲垣さんが・・
「やっぱ俺は諦めきれないんだ。だから、裏社会の仕事、見てみないか?」
「は?」
「ついてきて!」
と言って稲垣さんは私の腕を強引に引っ張る。そして私は車に乗せられ、どこかへ連れて行かれた。
「ここ、どこ?」
「ここは、借金をしている人の家だ。」
「へ、しゃ、借金・・」
「あぁ、俺はここの家の人を裁判にかけたんだ。」
「な、なんで裁判なんか。」
「ここの家の人、子供がいたんだ。それも3人も。ここに住んでいるのはその3人の母だ。その母親は離婚していて、お金はじゅうぶんあったんだ。でも、夜な夜なホストとかクラブとかに行ってお金を使ってた。朝も昼もいないし夜もいない。子供の面倒を全くみなかったんだ。だからまあ食一人500円だけわたしていたんだ。それでその子供がついに五百円じゃ足りないよと言ったんだ。すると母親が暴力を払ったんだ。」
「それって虐待じゃ、」
「あぁそうだ。俺はその3人の子供から母がこんなんだから助けてくれって言われたんだ。そんで証拠集めて弁護士に提出、そのあと裁判にかけたんだ。そしたら裁判に勝った。まだ捕まらないラインだったから裁判の料金とか慰謝料とか払ってもらうことになったんだ。それが払えないからってうちに借金をしたんだ。それを取りたてに来たってわけさ。」
「裏社会の人って悪い人だと思ってたのに、やることは怖くても、それをする理由がとても優しいんだね。私、誤解してた。」
「いいんだ。所詮裏社会の人間なのには変わりねぇんだからな。」
「でも、うん。」
「ほんじゃまぁ取り立て行ってくるわ。端の方で見とけよ。」
と子供のような笑みを浮かべた。
「なんで取り立て行くのに笑うかな」
「クスッ」
ピーンポーン
ピーンポーン
ピーンポーン
ピーンポーン
「出てこねぇな」
どんっどんっばきっばきっ
どーーーん
「なんだ、居留守使ってんじゃねぇよ」
「ひ、ひぃぃぃぃー」
「で、借金はまだ払えないのかな〜」
「あ、あ、う、ま、まっても、もも、もう少し待って。」
「もう少しだぁ?もう何日も何日もてめぇの居留守に付き合ってやって待ってやったんだ。それなのにまだ払えないだと?!あぁん?」
「ひ、ひぃぃぃ」
「よし、お前ら連れてけ。」
「うっす!」
「え、あ、どこへ」
「決まってんだろ?借金が払えないなら、体使って働いて返してもらうぜ?」
「きゃぁぁぁぁ」
「ふぅー。一仕事終わりっと。」
「どうだ?俺の仕事は」
「いや、普通に怖いわ。」
「だよな、じゃあ今度は取り立てじゃないとこ見せてやるよ。」
「取り立て以外にすることってあるの?」
私の言ったことを聞いて稲垣さんはこくんと頷いた。そして私を車に乗せ、何やら事務所のようなところに着いた。
「ここは?」
「ここは見ての通り事務所だ。ここで客が待ってるんだ。」
「待たせたなぁ。」
「いやいや、全然大丈夫ですよ。ところでそちらのお嬢さんは?」
「あぁこいつか。俺の命の恩人だ。」
「へー。あ、これ今月分の売り上げです。」
「おーありがとな。」
「今月は結構売れたんですよ〜」
「確かにいつもより分厚いな」
「それでは、私は仕事がありますのでこれで失礼いたしますね。」
「おう、」
バタンッ
「え、売上って何?」
「あぁ、俺たちが様々な店を経営してるんだ。それプラス売り上げがガタ落ちしている店とかの支援もしてるんだ。」
「それって、会社経営ってこと?」
「まぁそんなとこだな。」
「で、そろそろ俺に惚れた?」
「いやそれはない」
「そ、そんなはっきり言うなよ。」
『あははは』
こうして二人で笑い合った。
〜終わり〜
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