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クラス会
6年2組の教室に入った。
「あっ、美玲、元気だった!?」
「うん。千夏も元気そうだね」
この教室で最後の1年を過ごした。机も部屋も思いの外小さくて、もっと広いと思ってたのに。
「明日香、どうしたの、その髪型」
「どうしたのこうしたのって、風が凄くて」
同窓会はやっぱりいい。みんなすっかり大人っぽくなり、小さかった男の子たちもずいぶん逞しくなっていた。
「これ見て」
智美が卒業アルバムをもってきていた。
「恥ずかしいから、そんなもん見るなよ」
逞しくなった男の子たちにとって、卒業アルバムの写真は確かに幼すぎた。
女の子たちの間では早くも「結婚」の声が出ている。
「え、亜由美、結婚するの?!」
もうハタチだし、誰が結婚しても不思議じゃない。
「美玲は?」
「えっ、わたし!? わたしはまだそんな、学生だし」
「そう? 美玲はもてたから、もう結婚相手くらい決まってるのかと思ったけど」
「わたし、別にもててなんか……」
明日香が言う。
「美玲は何故かいつものらないのよね」
そう、わたしは誰かとお付き合いが始まっても、何故かいつも「この人じゃない」、そんな気持ちになってしまう。
亜由美が言った。
「もったいないなあ。わたしが美玲なら、人生きっと変わってたわ」
「そんなこと……」
幹事の田中くんが声を上げた。
「それじゃあ、そろそろ始めます!」
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