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「おおっ!」
「やった!」
「わぁ、おめでとうございます!」
「やだ、もう! 感動しちゃいましたよ。素敵すぎますよー」
ずっと見つめあっているのも照れくさくなり、お互いクスクスと笑った時に拍手が響いた。
拍手の音とみんなの声で、周囲に人がいたことを思い出す。すっかり、この世界に二人しかいない気分になっていた。
そうだった、見られていたんだった。
恥ずかしい。
お互いしか見えていなかった私たちは外野の存在に気付き、頬を赤くして照れる。
「いやー、きっと二人はいろんなことに悩んで生きてきて、素敵な再会をしたんだね。感動的だね」
「本当ですよ。私、涙出ちゃいます」
しみじみと言う部長に同感した星野さんが涙ぐむ。
人から感動されるようなそんなやり取りだったかな?
気恥ずかしくなり、広海くんを見ると彼はまとめたレポートに目を通していた。
その様子を見た部長は苦笑して、広海くんの肩を叩く。
「池永くん、熱い君を見せてもらって感動したというのに、君はもういつもの冷静さを取り戻したのかい?」
部長の問いかけには、課長が答えた。
「すみません、部長。こいつは真面目なんです。でも、きっと片瀬さんを手に入れたことでこうしてまた真面目に取り組めるんですよ」
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